薄毛マメ知識

秋に抜け毛が増えるのはなぜ?季節性抜け毛の原因と正しいヘアケア

医師監修
監修:田村 崇行院長
東京大学医学部 卒|Clinic Villa Tokyo 院長

秋になると、ブラシや洗面台の排水口に抜け毛が増えて不安になる方は少なくありません。「病気なのでは」「このまま薄くなってしまうのでは」と心配される声をよく耳にします。実は、秋に抜け毛が増えるのにはいくつかの生理的な背景があります。まずは原因を正しく理解することが、適切なケアへの第一歩です。

秋は抜け毛が増えやすい季節

日本では一般的に、9月から11月にかけて抜け毛が多くなると報告されています。これは季節性の生理的変動であり、多くの場合は数か月以内に落ち着くとされています。ただし、すべての抜け毛が季節性とは限らないため、状況に応じて専門家への相談も重要です。

1日あたりの正常な抜け毛の目安はおよそ50〜100本とされています。この範囲を大きく超えて継続する場合や、頭皮の特定部位が目立って薄くなる場合は、医師への相談を検討するタイミングかもしれません。

毛周期(ヘアサイクル)のしくみ

髪は成長期・退行期・休止期というサイクルを繰り返しています。成長期は2〜6年ほど続き、退行期(2〜3週間)を経て休止期(約3か月)に入ります。休止期の毛は自然に抜け落ち、新しい髪が生えてきます。

秋に抜け毛が増える一因は、春から夏にかけて多くの毛が成長期に移行し、その後休止期に達する毛が秋に集中するためと考えられています。これは個人差があり、すべての人に同じように起こるわけではありませんが、季節的な変動の背景にある仕組みとして広く知られています。

夏の紫外線ダメージが秋に影響する

夏に受けた強い紫外線は、頭皮にもダメージを与えます。紫外線によって頭皮の酸化ストレスが高まり、毛包(毛根を包む組織)の環境が乱れることで、秋になってからヘアサイクルに影響が出る場合があります。

帽子や日傘などで頭皮への直射日光を防ぐUVケアは、夏の頭皮環境を守るうえで参考になる対策のひとつです。夏場のケアが、秋以降の頭皮の状態にもつながることを意識しておくとよいでしょう。

自律神経の乱れが抜け毛に関わる理由

秋は気温が急激に変化する季節です。昼夜の寒暖差や季節の変わり目によって自律神経のバランスが乱れやすく、頭皮の血流が低下することがあります。血流が不足すると、毛包に届く栄養や酸素が減り、ヘアサイクルに影響を与える可能性があります。

十分な睡眠、適度な運動、深呼吸などで自律神経を整えることは、頭皮環境の維持にもつながると考えられています。特に睡眠不足が続く時期は、抜け毛への影響が生じやすい傾向があります。

頭皮の乾燥と皮脂バランスの変化

秋の空気の乾燥は、頭皮のバリア機能にも影響します。頭皮が乾燥すると皮脂の分泌が乱れ、毛穴が詰まりやすくなったり、炎症が起きやすくなったりする場合があります。頭皮の炎症が続くと、毛根環境に悪影響を与えることがあります。

シャンプーは頭皮の汚れをやさしく落とし、乾燥を防ぐ処方のものを選ぶことが勧められます。洗浄力が強すぎる製品は頭皮に必要な潤いを奪うこともあるため、自分の頭皮の状態に合ったものを選びましょう。

秋の抜け毛に関わる主な栄養素

ヘアサイクルを支えるには、タンパク質・亜鉛・鉄分・ビタミンB群などの栄養素が重要とされています。夏の食欲不振や偏った食事が続いた場合、秋になってからその影響が抜け毛として現れることがあります。

特に亜鉛は毛母細胞の分裂を助け、鉄分は酸素を毛根へ運ぶ役割を担います。肉類・魚介類・豆類・緑黄色野菜をバランスよく取り入れることが、頭皮への栄養補給の基本です。極端な食事制限はヘアサイクルへの影響リスクが高まるため注意が必要です。

季節性の抜け毛とAGAを見分けるポイント

季節性の抜け毛は、主に休止期の毛が抜けるもので、頭全体に均等に抜けることが多く、数か月で落ち着く傾向があります。一方、AGA(男性型脱毛症)は前頭部や頭頂部など特定の部位から徐々に薄くなる進行性の脱毛症で、放置すると進行する可能性があります。

判断の目安として、抜け毛が前頭部・頭頂部に集中しているか細く短い毛が増えているか3か月以上症状が続いているかなどが挙げられます。これらに当てはまる場合は、季節性ではなくAGAなどの可能性も考えられるため、専門の医療機関への相談が適切です。

日常的な頭皮ケアのポイント

頭皮ケアの基本は、正しいシャンプー・すすぎ・乾燥の3ステップです。シャンプー時は爪を立てず、指の腹でやさしくマッサージするように洗います。すすぎは十分に時間をかけ、シャンプー成分が頭皮に残らないようにすることが重要です。

洗髪後はタオルで軽く押さえるようにして水分を取り、ドライヤーで頭皮をしっかり乾かします。半乾きのまま放置すると雑菌が繁殖しやすく、頭皮トラブルの原因になることがあります。週1〜2回の頭皮マッサージは血流促進の観点からも取り入れやすいケアのひとつです。

食事・生活習慣で内側から整える

髪の主成分はケラチンというタンパク質です。1日あたりのタンパク質摂取の目安は体重1kgあたり約1gとされており、不足すると毛の成長に影響が出る場合があります。鶏胸肉・卵・大豆製品・魚などが良質なタンパク質源として知られています。

また、過度な飲酒・喫煙は頭皮の血流を妨げ、栄養の供給を滞らせる可能性があります。睡眠中は成長ホルモンが分泌され毛の再生に関わるとされているため、7〜8時間程度の良質な睡眠を確保することも重要です。適度な有酸素運動やストレス軽減も、頭皮環境の維持に寄与すると考えられています。

医師への相談が必要なサイン

以下のような状態が続く場合は、皮膚科や毛髪外来・AGA専門クリニックへの相談を検討してください。症状の早期把握と適切な診断が、有効な対処につながります。

  • 1日に150本以上の抜け毛が3か月以上続いている
  • 前頭部や頭頂部など特定の部位が目立って薄くなってきた
  • 産後・手術後・強いストレス後に急激に抜け毛が増えた
  • 頭皮に炎症・かゆみ・フケが強く出ている
  • 細く短い軟毛が増えてきた

AGA治療は保険適用外の自由診療となります。治療の内容・費用・効果の個人差について医師から十分な説明を受けたうえで判断することが大切です。効果には個人差がありますので、まずは専門医への相談から始めることをおすすめします。

よくある質問

Q. 秋の抜け毛は何月ごろまでに落ち着きますか?

季節性の抜け毛であれば、多くの場合は11月から12月にかけて徐々に落ち着いてくることがあります。ただし個人差が大きく、3か月以上続く場合や抜け毛量が非常に多い場合は専門の医療機関に相談することをおすすめします。

Q. 秋の抜け毛とAGAは自分で判断できますか?

目安として、前頭部・頭頂部など特定の部位から薄くなる場合はAGAの可能性があります。頭全体に均等に抜けている場合は季節性の可能性が高いですが、自己判断が難しいケースも多くあります。気になる場合は医師による診察が確実な方法です。

Q. 秋に抜け毛を減らすために毎日できることはありますか?

頭皮を清潔に保つ正しいシャンプー、バランスのよい食事(特にタンパク質・亜鉛・鉄分の確保)、十分な睡眠、ストレス管理が基本的な取り組みとして挙げられます。これらは頭皮環境の維持に役立つとされていますが、効果には個人差があります。

Q. 女性にも秋の季節性抜け毛は起こりますか?

はい、季節性の抜け毛は男女問わず起こる可能性があります。産後・過度なダイエット・ホルモンバランスの変化などが重なると、秋の時期により抜け毛が増えやすくなる場合があります。3か月以上症状が続く場合は皮膚科などへの相談を検討してください。

Q. AGA治療薬は市販されていますか?

現在、日本では医師の処方が必要なAGA治療薬(フィナステリド・デュタステリドの内服薬やミノキシジルの内服薬など)が存在します。市販のヘアケア製品とは異なり、これらは医薬品であり、副作用・禁忌についての医師による説明と処方が必要です。自己判断での使用は避け、専門の医療機関に相談することが重要です。

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※自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。副作用・リスク等は診察時に医師が説明します。

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